「真田町の合併と自立を考える会」が町に公開質問状

1.町は財政シミュレーションを示しません。無責任ではないでしょうか

 いま、真田町は上田市、丸子町、武石村と任意合併協議会を設置し、合併する検討をすすめています。
 町民の間では、不安や疑問の声もあります。
 この声に応えるために「考える会」は町に公開質問状を提出しました。その回答が寄せられました。
 しかし、私たちが質問で最も注目していた「財政シミュレーション」は「地方交付税の削減が10%で済むのか、あるいは国の交付税会計の単年度収支に見合う40%程度にまで削減されるのか国の方針がはっきりしないので検討できない」として、示しませんでした。
 町は、将来の財政状況がハッキリしないのに、どうして合併を押し進めようとするのでしょうか。全く無責任と言わざるを得ません。
 以前には、「合併した方が良いとした係数が出ている」と町は言っていました。今、この段階で検討したものを公表するのが、住民に対する説明責任ではないのでしょうか。

2.「考える会」が独自にシミュレーション

 私たち「考える会」で、独自に合併した場合のシミュレーションをしてみました。
 その計算結果を皆さんに見ていただいて、合併した方が良いのか、しない方が良いのか。あるいは更に良い方向が見えてくれば、本当に幸いと考えています。

3.合併すれば4市町村で17億円地方交付税が減ります

 さて、国は「地方交付税」を削減するための合理化は「合併を進める」ことが一番手っ取り早いと考えているからではないでしょうか。
 なぜならば、「地方交付税」は人口一人当たりの交付額は、小さな自治体には多く、大きな自治体には少なく、計算され配分されています。
 その基準は人口10万人で、その配分の加重計算は1.0(段階補正といいます)として、人口が少なくなれば1.0よりも大きくなります。
 したがって、現在の住民一人当たりの地方交付税額は上田市は約48,000円、丸子町は約96,000円、真田町は約173,000円、武石村は約335,000円となっています。
 これが合併すれば、人口が約163,000人となるので段階補正率は1.0となり、約48,000円以上は切り捨てられることになります。ただし、計算は単純でなく複雑で、項目毎で補正率が違っていますので、私たちには計算根拠はわかりません。
 しかし、平成14年度の予算をベースとして試算し、町が公表したものがあります。
 平成14年度の4市町村の交付税交付額は115億円、合併した場合の一本算定額は98億円、その差額は17億円と発表しています。
 この17億円の減少がどの様に影響するのか検討してみました。年度によっての配分差(3億円)が出ていますが、輪郭をつかむ上では問題にならないので、結果がわかっている13年度をベースとして試算してみました。(表1)

真田・上田・丸子・武石4市町村 合併による地方交付税交付額減少の試算(表1)
4市町村 団体名 人口(人) 平成13年度交付税交付額 b 一人当たり交付額(円) c 4市町村一本算定一人当たり交付額(円) d 合併後の交付税額a×c (千円) e 交付税減少額 (千円) e-b 一人当たり交付額差額(円) d-c=f 交付額  増減率 f/b 12年度  決算総額(千円) 決算に対する増減額の影響
(13.3.31)
a
上田市 122,142 5,939,608 48,629 60,108 7,341,705 1,402,097 11,479 23.61% 44,517,448 3.15%
丸子町 24,793 2,400,021 96,802 60,108 1,490,256 △ 909,765 △ 36,694 -37.91% 9,750,510 -9.33%
真田町 11,837 2,054,074 173,530 60,108 711,498 △ 1,342,576 △ 113,422 -65.36% 7,782,994 -17.25%
武石村 4,268 1,430,697 335,215 60,108 256,541 △ 1,174,156 △ 275,107 -82.07% 3,564,552 -32.94%
163,040 11,824,400 72,525 9,800,000 △ 2,024,400 -17.12% 65,615,504 -3.09%
一本算定 9,800,000 60,108
差額 △ 2,024,400 △ 12,417  ※年度の違いにより、3億2440万円の差がある。
平成14年度ベース算定替額 11,500,000 70,535


表1のように、一本算定の交付税額を4市町村の人口で平均すると一人当たりの交付税額は約6万円となります。それを各市町村の人口に掛けると減少総額がでます。それを13年度で比較してみました。
 真田町では、交付税額は13億4千万円の減少となります。平成13年度決算の交付税額は20億5千万円が交付されています。13年度歳入額(58億6千万円)の22.8%に相当する額が減少することになります。普通地方交付税額の65.3%が合併によって減少します。

       合併した場合の交付税額の比較

図1
図2

4.国は「合併は最大の合理化」として強要か?

 この様な状況になるために、従来市町村合併はすすみませんでした。国は合併を推進していくためには、合併特例法を定め、平成17年3月31日までに合併すれば、地方交付税の減少を緩和してあげるとしています。
 その一つは、10年間は合併しなかった場合と同様に段階補正は従前の通り配分し、11年目から5年間で段階的に減らします。その間に人件費など経常経費を削減しなさいといっています。
 また、もう一つは、「合併特例債(4市町村の合併の場合)を約410.7億円までの事業の実施(合併から10か年度間の事業の合算額)を許可し、借金出来るようにします」といっています。
 そのうち起債可能額は約390.2億円(事業費の95%)、普通交付税算入額 約273.1億円費(起債可能額の70%)を国が持ってくれるといっていますが、結果は全事業費の3分の2が国の負担で、残りは合併した自治体の負担となります。(※現在、地方交付税の財源が足りず、臨時財政対策債という名目で借金し、全国に配分していますが、財源の確保は疑問です。)

5.地方交付税の減少は私たち住民にどのように影響するのでしょうか?

 さて、問題はこの減少はこれにとどまりません。様々な事業を実施していく上で、この自主財源がないと出来なくなります。公共事業の道路改良や観光事業、学校運営など様々な事業に影響を及ぼします。
 今、真田町では表2の様に町単独事業が約3億円で合併浄化槽の補助、福祉医療費、保育児童の送迎、資源物の収集運搬、減反に伴う水田のとも補償、通学費補助、学校給食、公民館活動などに支出し、様々な住民要望に応えています。
 また、表3の様に長期振興計画で計画的に事業を行っている道路改良、消防、上水道、下水道、保健事業、社会福祉、児童福祉、学校教育、社会教育、産業支援などが平成14年度事業全体で23億5千万円、その内一般財源12億1千万円をあてて事業を行っています。
 その内投資的なもの(9億5千万円うち一般財源2億3千万円)と経常的なもの(14億円うち一般財源9億8千万円)があります。
 これらの事業にどの様に反映するか検証してみました。

 自主財源である一般財源がないと事業ができなくなります。皆さん方が納めた住民税、固定資産税、軽自動車税、たばこ税、そして、国が徴収した税金を「地方交付税法」で決めた配分割合で配分した地方交付税などが自主財源となっています。
 この自主財源を元手に様々な事業をしています。その事業は、下の表1、表2の様な事業です。

主な政策的町単独事業等(物件費、補助費等)一般財源の額  (単位:千円)  (表2)
番号 内容 一般財源額 番号 内容 一般財源額
1 議員研修特別旅費 1,618 30 ごみ減量化機器設置事業補助 2,400
2 水洗化資金利子補給 500 31 資源物収集運搬委託 7,890
3 合併浄化槽利子補給上乗せ分 9,786 32 振興組合活動交付金 1,000
4 区長研修特別旅費 709 33 カモシカ捕獲・有害鳥獣駆除事業 1,140
5 自治区活動交付金 4,021 34 農業用プラスチック回収処理補助 800
6 ホームページ作成委託 2,075 35 水田とも補償補助金 4,000
7 町勢要覧作成 2,000 36 そば、大豆生産助成金 2,000
8 森と緑のやすらぎ空間整備事業交付金 10,000 37 花卉価格安定補助 400
9 保育所マイクロバス無料化 2,500 38 農業近代化資金利子補給 972
10 保育園マイクロ通園費補助 1,080 39 森林組合育成事業補助 2,397
11 福祉タクシー使用料 1,215 40 林道補修 1,850
12 障害者介護者慰労金 1,036 41 農道水路補修材料 6,410
13 福祉医療費(7才未満児等)町負担分 22,000 42 小規模土地改良事業補助 1,300
14 保育所マイクロバス運営費 13,246 43 町道補修 23,000
15 保育所延長保育 3,528 44 小型除雪機械購入補助 1,400
16 健康推進員報酬 2,426 45 消防団資器材購入 6,008
17 各種健康診断検診料 11,748 46 消防団分団交付金 1,000
18 人間ドック補助 1,220 47 いずみ幼稚園補助金 4,370
19 寝たきり老人介護慰労金 7,800 48 通学費補助金(小中学校) 2,981
20 高齢者配食サービス 7,367 49 通学費補助金(高学校) 3,984
21 ふれあいバス運行委託 3,239 50 学校警備 1,480
22 渋沢線バス運行 2,730 51 学校給食(小) 32,073
23 傍陽線バス運行 11,200 52 学校給食(中) 12,232
24 小規模企業退職金共済掛金補助 708 53 AET委託 3,520
25 商工会補助 7,000 54 海外ホームステイ交流事業 1,900
26 制度資金融資保証料補助 10,000 55 校技スキー活動補助 1,905
27 観光振興協会負担金 8,100 56 分館活動交付金 3,000
28 道路河川沿線景観整備 5,380 57 分館活動交付金 1,600
29 ふれあい環境整備事業交付金 7,500 58 スポーツ振興省令補助金 5,000
合計 299,744

長期振興計画事業費   (単位:千円)  (表3)
項目 14年度事業費 左の財源内訳
国庫支出金 県支出金 地方債 その他 一般財源
経常的経費計 1,400,269 21,871 18,597 379,092 980,709
100.00% 1.56% 1.33% 0.00% 27.07% 70.04%
投資的経費計 950,582 156,101 18,427 375,900 164,140 236,014
100.00% 16.42% 1.94% 39.54% 17.27% 24.83%
合計 2,350,851 177,972 37,024 375,900 543,232 1,216,723
100.00% 7.57% 1.57% 15.99% 23.11% 51.76%

 真田町では、表1のように地方交付税は約13.4億円減少します。
 真田町が検討している人件費の削減方法は、表4のように議員や職員を25%減らして対応していこうとしています。

真田町が検討している人件費削減方法  (単位:千円)  (表4)
内 容 備 考  
1 理事者等報酬削減額 4役の報酬(旅費、期末手当等を含む) 53,636
2 議員報酬削減額 議員13名分(旅費、期末手当等を含む) 35,480
3 職員定員削減分 25%削減(126名×25%=31名) 218,036
合 計 307,152

 しかし、この額は3億円なので当然減少額には届きません。
 さらに経費削減をするためには、投資的経費や経常的経費にも手をつけていかなければ解決するものではありません。
 それを順次計算してみました。
 一般財源の不足により、人件費の削減、町単独事業の全面廃止、投資的経費である公共事業の全面廃止、そのうえに経常経費を約5億円削らなければ収支がとれなくなります。

地方交付税減額で削減予算の予想  (単位:千円)
内容 削減予想金額 残額
1 地方交付税減少額 -1,342,576
2 人件費削減分 307,152 -1,035,424
3 町単独事業分 299,744 -735,680
4 投資的経費分 236,014 -499,666
5 経常的経費分 499,666 0


 また、これらの事が事業費全体への影響を及ぼすかを見てみました。

事業に与える影響額    (単位:千円)
内容 事業費削減予想金額
1 町単独事業 299,744
2 経常的事業 336,984
3 投資的事業 950,582
1,587,310
4 人件費等分 307,152
合計 1,894,462

 計算結果は約19億円の事業が出来なくなることを示しています。

6.地域経済にも多大な影響、打撃となることは必至

 更に深刻なのは、この事業がなくなることは、この地域全体に及ぼします。このお金が地域に流通しなくなるので、資金の回転率分だけ地域経済に影響を及ぼします。
 仮に2回転しているとすれば、38億円の減少となります。これは真田町の住民一世帯当たりおよそ100万円の売り上げ、所得の減少となり、致命的な結果となるのではないでしょうか。回転率が1回転としても50万円の影響が出ます。