市 町 村 合併問題 特集No.1 |
合併すれば真田町は本当に良くなるのでしょうか? 合併するか しないかは住民が決めるもの みんなで考えよう真田町の将来 |
平成14年3月議会で中沢盛雄議員・倉橋重松議員の一般質問と町長・総務課長の答弁がありました。これらをもとに、市町村合併の問題点をまとめてみました。 (下記の説明は特別な説明がない限り、上小の8市町村と坂城町の合併を仮定) |
1.国・町の説明では 「国・地方の財政悪化で市町村合併が必要。国と地方の借金は666兆円で国民一人あたり520万円。」といいますが? | 借金の原因は ○国と地方の借金が増えたのは、アメリカの貿易赤字を減らすため、橋本内閣は630兆円の公共投資を約束し、ダム・港・空港など無駄な公共投資をつづけてきた結果です。 合併すればどうなるか ○国は財政効率を良くするということを最大の狙いとしているので、役場職員を減らし、行政を統合し、国から地方自治体へのお金を減らそうとしています。サービスは切り下げられ、暮らしは良くならず、明るい展望は見えてきません。 |
2.国・町の説明では 「国の地方交付税は減らす方向。合併すれば合併特例債等お金をたくさん出すし、地方交付税も10年間は合併前の額を出す。」といいますが? | 13年度の町の地方交付税 ○国から町へ配分されるお金は20億5,407万円で、住民1人あたり173,000円です。 合併すればどうなるか 合併すればお金は国からたくさんでるといいますが、実際には大変少なくなります。 ○合併特例債(建設事業を行う場合の借金)―10年間で695億円、住民1人当たり年32,700円 (※国からの補てん率は66%、残りは住民が負担することになります。) ○合併しても地方交付税は減らさないで10年間は面倒をみましょう。10年たったら減るわけですが、さらに5年間は援助しますよというものです。(合併算定替えという) 計算すると15年間の金額は984億円です。住民1人当たり92,000円 しかし、現在の交付税額と比べても196億円もの減額となります。 ○合併特例債と合併算定替えを合計しても、年1人当たり124,700円で、現在の町の1人当たり交付税額173,000円に及びません。 |
3.国・町の説明では 「住民税・都市計画税の負担は一般的には低い方に合わせる。」といいますが? | 現在の負担は ○現在住民税の均等割は1人2,000円。 ○都市計画税は課税されていない。 合併すればどうなるか ○地方税法第310条(個人の均等割の税率)で次のように定められています。 1.人口50万人以上の市 年額3,000円 2.人口5万人以上50万人未満の市 年額2,500円 3.上記市以外の市並びに町村 年額2,000円 上小管内で合併した場合は、年額2,500円が適用され500円アップになります。 ○都市計画区域に編入されれば、都市計画税は課税されることになります。 都市計画税の税率は100分の0.3以内となっていますが、上田市・東部町などは固定資産税標準課税額の0.2%が課税されています。現在の固定資産税より約14%増の負担となります。 合併した茨城県潮来市の例 〔人口 32,133人〕 平成13年に合併した、潮来市は潮来町と牛堀町が合併しました。牛堀町では都市計画税は徴収していませんでしたが、3年後から徴収することにしています。(真田町議会の視察で、潮来市議会の説明より) |
4.国・町の説明では 「住民サービスは高い方に、負担は低い方に」といいますが? | 現 在 ○「真田町は元気ある町、活気ある町」です。〔上小(坂城町を含む)9市町村との比較です。〕 ※国保税―真田町は年153,100円 高いところでは丸子町が194,600円。 ※保育料―3才未満 月額35,000円で低い方から2番目。 3歳以上 月額27,000円で低い方から4番目。 ※保育園通園バス運行と無料は真田町だけ。 ※私立幼稚園通園バス補助金も真田町だけ。 ※高等学校通学費補助 ※健康診断の基本検診は無料 他市町村は個人負担あり。 ※学校・保育園の自校給食―上田市はセンター給食 ※高齢者の3食365日配食サービスは真田町のみ。 ※高齢者介護慰労金 年12万円。和田村の年24万円に次いで高い方。 ※介護サービス基盤は他市町村より優れています。 ※下水道化は14年度で完了 ※学校体育館は新築 合併すればどうなるか ○町の優れた行政サービスは、合併して守られるのか保証はありません。 ○国や町の説明では、サービスは高い方へ、負担は低い方へといいますが、実際の例を見ると、合併時しばらくはよいのですが、その後は逆転しています。つまりサービスは切り下げられることが、予測されます。 平成7年に合併した「あきる野市」の例 〔人口 79,095人〕 様々な大型開発などに519億円かけたが、住民サービスは削減・負担増。 サービスの削減例 (合併して5年後に「行政改革大綱」を作り) 1.住民税は高い方に(500円アップ)。 2.国保税は1人15,000円アップ。 3.使用料・手数料引き上げで6700万円の負担増。 4.修学旅行費父母負担の増加。 5.図書館の蔵書数が自慢だったが、予算の削減。 |
引き下げられた、人口規模別の地方交付税 | 地方交付税は、人口の密集度により交付額を段階的に補正し、人口が少ない市町村に多く配分しています。 補正額の見直しが行われ、平成14年度から3年間かけて調整が行われることになりました。合併する、しないにかかわらず減額される交付税額は、下記の通りです。(総務省の資料による) 人口規模 平成14年度 平成16年度 1,000人前後 800万円減 2,400万円減 4,000人 〃 1,800 〃 5,500 〃 8,000人 〃 1,700 〃 5,200 〃 12,000人 〃 1,700 〃 5,000 〃 20,000人 〃 1,700 〃 5,000 〃 30,000人 〃 1,000 〃 3,000 〃 真田町は人口12,000人前後に該当するので、5,000万円の減額が決まっています。 この額は真田町標準財政規模50億円の1%にあたります。 |
5.国・町の説明では 「広域的な規模にたった重点的な基盤整備や町づくりが出来る。」といいますが? |
合併すればどうなるか 国の市町村合併の目的の一つして、自治体の予算規模の拡大を図り、市街地再開発など大型プロジェクトを実施することにあります。市の中心部に公共施設が集中し、真田町など周辺には公共施設は望めないことがありえます。 また、市町村によっては、受け入れる行政サービスよりも大型事業のために住民一人当たりの借金と負担が増えるということも実際の事例です。 「あきる野市」の例 あきる野市の合併の目的は「秋留台開発」にありました。その結果はつぎの通りです。 開発の例 1.「インダストリアパーク」は工業団地造成として31億円かけたが、売れずに失敗。 2.「富士通誘致」に201億円(事業費、造成、上下水道、道路など) 3.増戸駅前土地開発区画整理事業で市の負担分134億円。 4.「あきるの市庁舎」(7階建)に87億円 5.「圏央道」関連都市計画道路−新たな市の負担7億2500万円 6.「菅生の山を造成し、企業誘致計画」−誘致に失敗し利子を含め31億円の借金。 |
6.国・町の説明では 「財政の効率化になる。少ない経費で、より高い行政サービ スが可能になる。」といいますが? |
現在の役場庁舎内の所管課 ○ 福祉健康課 町政税務課 観光商工課 農林課 建設課 上下水道課 情報政策課 総 務 課 教育委員会 議会事務局 ○ 上記 職員数89人 (上記に入っていないのは、 保育園23人 小・中学校事務5人、 介護支援センター4人 消防防災課17人 ) 合併すればどうなるか 上田市に合併した塩田町は、100人前後あった職員数は塩田支所に現在9人で窓口業務を行っています。[川西(旧村)支所は5人、豊殿(旧村)支所は5人体制] ○すべての用事が支所の窓口で間に合うことにはなりません。 上田市役所に行かなければ出来ない事は次の様なことがあります。 ※農業委員会に関すること。〔農地転用手続きなど〕 ※税金の申告に関すること ※福祉関係の認定業務に関すること。 母子、父子家庭の認定・扶養認定に関すること。 障害者に関すること。 福祉医療に関することなど。 ○合併すれば事実上役場はなくなり、いずれは支所に4〜5人体制となる。 職員は上田市におかれるであろう新市庁舎内に移動する。 いままで、役場職員が利用していた食堂や商店の利用も激減し、また役場に納入していた町内業者の出入りも極めて少なくなり、地域経済への影響は大きくなります。 |
7.国・町の説明では 「合併後の新しい市町村の町づくり計画(市町村計画)を策定するので周辺部と中心部の格差の増大はない。」「合併前の市町村を単位として地域審議会を設置し、旧市町村の意見を反映することが出来る。」といいますが? |
現 在 ○「町政の主人公は町民」のスローガンで、各集落懇談会や審議会で町民が意見を出し合い、さらに町議会が町づくりを決め、均等ある発展に努力が払われています。 ○町職員を各区毎に担当を決めて、役場とのパイプ役を果たしています。 ○町の長期振興計画を立てる場合、アンケートや、町づくり懇談会を各区毎に実施し、町民の意見を吸い上げてみんなで町づくりをしています。 合併すればどうなるか ○合併すれば地域バランスを地域審議会がチェックするといいますが、議会と違って法的拘束力を持たないものであり、住民が安心できるものではありません。 ○合併市町村の例では、市の中心部へ人口移動が起こり、過疎化が一層進み人口がゼロになってしまった村もあります。 ○上田市は集落懇談会はやっていません。「長期振興計画策定委員会」が中心に計画を作っています。 ○「地域審議会」で意見反映は可能であるといますが、「地域審議会」は作っても作らなくてもいいものであり、議会決議ではないので首長がその意見を取り上げなければならない法的根拠はありません。 |
8.国・町の説明では町づくりは「自己決定と自己責任の原則で、サービスを求めることが出来る。」といいますが? (※予算編成の権利) | 現 在 ○町議員数は18人で住みよい真田町づくりのために努力しています。 ○住民参加ですすむ住民自治 ※各集落の町政懇談会があり、行政に反映されています。 ※区内の問題を区長にいえば、すぐに役場に相談してくれています。 ※「町長との語り合いの日」には住民が直接意見を言うことが出来るシステムがあります。 ※「自己決定」が出来る議会があります。 合併すればどうなるか ○真田町議会はなくなります。 合併後の新議会は、議員法定数が41人で、議員1人当たりの人口は5,303人となります。 これによると真田町の人口割りの当選可能数は、一般論として2人から3人程度と考えられます。合併した市町村の例では、議員は人口密集地に集中する傾向があります。たった2〜3人の議員で住民の意見がどこまで反映出来るか疑問です。 ○真田町に議会がなくなり、地域で唯一の予算編成などの「自己決定」が出来なくなります。 ○町民が意見を言う機会が、少なくなることは明らかです。 |
上田・小県の市町村が合併すれば、76億円も減る地方交付税 全市町村の予算規模の32.6 %にあたり、財政危機を早めます 平成13年度の予算は、上田市・丸子町・長門町・東部町・真田町・武石村・和田村・青木村の8市町村の予算の合計は、234億600万円です。 地方事務所の試算で、8町村が合併したと仮定して普通交付税額を試算したところ、交付額は合併前は191億3957万円でしたが、合併すると114億9996万円になり、76億3961万円も減ることが明らかになりました。 これは8市町村全予算地方交付税額の32.6%にあたります。 国は合併促進のための優遇措置は15年間とりますが、16年目以降はうち切られます。 国は財政危機を理由に、地方交付税の交付額を減らそうとしています。本来地方自治の財源は日本国憲法や地方交付税法で保証されているのですが、政府は法律の改正が出来ないので、市町村合併によって交付税額を減らそうとして、市町村合併を押しつけてきているのです。 住民の一部に「議員や職員の数が多すぎる」という声がありますが、首長や議員そして職員の人件費が予算全体に占める割合は16.7%です。仮に全員が役所からいなくなっても、交付税削減額32.6%にはとどきません。結果的に合併すれば住民サービスが削られ、負担が増えることは必定です。 |
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早急な合併論は地方を破壊 小池清彦・新潟県加茂市長〔人口 33,084人〕 「(市町村の)合併は慌ててするものではない。合併は避けて通れないとの考え方は民主主義、地方を破壊し、国を滅ぼすものだ。(反対の理由として、合併後の自治体は)国からの地方交付税が減ることで財政難になり、福祉や保育などで合併前の水準のサービスは出来なくなる。議員の減少は民主主義の自殺だ。何もせずに傍観しているのが最善の策と考えている。」 (3月25日記者会見) −信濃毎日新聞 4.1記事より− 国がすすめる市町村合併の問題点を見事に言い当てています。 |